グラフィック&アクセサリーデザイナー NATSUKI

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今回は、19歳の若さでLAからアクセサリーブランド『JBCG』を立ち上げ、25歳になった現在は名古屋を中心に活躍する、アパレル&アクセサリーデザイナーであり、クリエイターでもあるNATSUKIさんにインタビュー。名古屋への想いも語っていただきました。

Qコレクションはどのようにデザインしている?

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シーズンごとの〝世界観〟を大事にしています。もともと50年代から80年代のアメリカのビンテージと、ストリートカルチャーが好きで、名古屋のストリートシーンからもたくさんの影響を受けました。現代ぽくもあるけど懐かしいアイテムが多いです。

コレクション立ち上げのときはテーマを決めて、1ヶ月間くらいそれにまつわる音楽、映画、本を読んだり、頭の中をテーマだけにしてグラフィックを作り、その後にアクセサリーのイメージを固めます。

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現在は日本に住みながらコレクション立ち上げの時はLAに買い付けも含め行っています。滞在はだいたい2週間ほど。

1週目は毎日パーツ屋さんに通って組み合わせを決めます。コレクションを完成させたら2週目でLOOKBOOKの撮影と商品パーツの購入をするため、その2週間は本当に刺激的な日々になります。

最近ではインスピレーションがLAだけに偏らないように、パリやバルセロナに行くようにしています。テーマはヒッピー文化に特化した時もありましたし、80’sのディスコイメージでポップなアートワークを作ったことも。1つの映画だけ、1曲の歌詞だけに絞ったりもしますね。

Q 今季のデザインテーマは?

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今季のアパレルはストリートカルチャー寄りで、デザインのイメージはドラッグ。大事にしているのはデザインに入れている言葉と絵のギャップです。

「自分の人生でハイになる」というメッセージワードを入れています。ドラッグでハイになるより、いい音楽を聴いて、素晴らしいアートを見て、ノーマルな状態でハイになる時が一番じゃないですか?デザインには必ずメッセージ性を持たせています。
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アクセサリーはコレクション全体の統一感を大切にしています。ビンテージっぽいけどTシャツに合わせてストリートっぽくも使えるものがいいなと思っていて、カジュアルな格好でも身につければ華やかになる、大振りなものが多いですね。

パーツは日本であまりないものをあえて使用しています。
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それから、使い回しができるように。たとえばフリンジと十字架のデザインピアスは、十字架をとりはずしてフリンジだけでも使えるとか。

昔はチョーカーとピアスがメインでゴールドしか作っていなかったのですが、私自体もちょっと落ち着いたというか大人っぽいものも増えてきました。

Q デザインの着想はどこから得てる?

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行き詰まったら自分の部屋の中でインスピレーションを膨らませます。海外のアート本やカルチャー誌が散乱しているので(笑)

海外へ行った時は、本屋に立ち寄って現地のカルチャー誌を買ったり、美術館のミュージアムショップでアート本を買ったりますね。

それからキリスト文化が好きで、ステンドグラスなどキリスト教にまつわるモチーフの影響は受けていると思います。美術ではルネッサンス時代、特にボッティチェリが好きです。
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Pierre CommoyとGilles Blanchardの2人のフランス人ゲイ・パートナーによるアーティスト「Pierre et Gilles」の一冊は、行き詰まったときに必ず目を通すお気に入り。
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私物のマリア像。カトリック教会で聖母マリアへの祈りを唱える際に用いる数珠状の祈りの用具「ロザリオ」からもデザインの着想を得ている。
グラフィックをやってはいますが、手書きに勝るものはないと思っていて、だからノートにいつも何かを書き込んでいます。自分の目標を書いたりとか。

昔から常にノートに書いててコラージュしたりしていたのでその延長で。これはアクセの絵。忘れないようにアイデアをメモをしたりもします。
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インスピレーションノートには、彼と喧嘩の最中に言葉を書き留めた「恋愛をしているときの感情」の言葉も。

Q NATSUKIさんにとって、名古屋とは?

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『JBCG』は日本より先にLAで発売したんです。LAにあるファッション大学FIDM在学中に、現地のファッションパーティーやセレクトショップで販売していたので。

でも、自分の人生が変わるような出会いはLAじゃなくて名古屋。留学前の18歳の頃に名古屋のセレクトショップでバイトをしていたんですけど、その頃は死ぬ気で遊ぶ事に徹してました。

もともと音楽やストリートカルチャーが好きでしかたなく、その頃からスケーターとつるむようになって、そこでアンダーグラウンドなストリートの世界を生きてきた絵描きの男の子と出会いました。
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その子の絵を貰ったんですけど「これをお前の形に変えろ、もっと表現をしろ」って言われて。

この人に絵で勝てるわけないと思いました。それで自分のスタイルでいこうと思い、絵に少しコラージュを足し、後ろに布やボタンを付け、”絵を持っているようなクラッチバッグ”を作成させたんです。

そしたら彼から「やっぱり面白い、もっとそういうのやれ」って言ってもらえたのが大きかったですね。

その時ちょうど「つけたいアクセサリーがない」って思っていたので、その出来事がきっかけでアクセサリーを作るようになりました。

今でも彼に会うと原点に戻れます。
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〝絵描きの男の子〟は、先日FENDIのエキシビション「FendiCraFF」でライブペインティングを披露したアーティストMJK。モデルaReKとしてファッション紙の表紙も飾る。

Q 『JBCG』のこれからについて教えてください

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センスや才能がある子にとって「自分を売り出せる場所」になりたい。

名古屋っておしゃれなナイトクラブやイベントがないので『JBCG』でイベントをやるときに、ファッション、音楽、アート関係で優れてる子達が集まって、クリエイターが繋がっていけばという思いがあります。

今年の3月から、ブランドがプロデュースするクリエイターコミュニティ「JUST BE CRAZY」を立ち上げ、4月には名古屋PARCOで「JBCGのポップアップ・JUST BE CRAZYのエキシビジョン」の名称でイベントを開催しました。

今はアパレルとアクセサリーが中心のブランドとしての役割が大きいですが、今後はブランドだけでなく何か刺激を得る場所のような存在を作りだしていきたいです。
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「JBCG」は“JUST BE CRAZY Goods"の頭文字。誰もがCRAZYに何にでも挑戦してほしいとの願いが込められている。
最終的に雑誌を出したいんですよ。年に1回くらいでいいのでカルチャーマガジンみたいなものを。

もともとファッション専門のグラフィックデザイナーになりたかったので、カルチャーを中心とした若い子をピックアップできるようなメディアとか、そういう場も作りたいと思っています。

Q NATSUKIから20代へのメッセージ

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年齢は関係なく、やりたいことがあれば動いたほうがいい。

「わたしなんかが」っていう子多いと思うんですけど、とりあえずやってみるって大事だと思います。それから、勉強も大事だけど遊んで人と出会うこと。成功している人は〝人の力〟を大切にしていると思うので。インスタで憧れる人がいたとしても、実際に会わないとわからないことの方が多いですよね。

あとは自分の考えを話すこと。やりたいことなんて死ぬまで変わっていくものなんだから、意見が定まってなくても、自分がやりたいことや将来のことはどんどん話すほうがいいんじゃないかな。と私は思います。


JBCG(ジェービーシージー)

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